街の縁側,街の学び舎,街のチャレンジ(片山 弘子:MailNews 2010年12月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2010年12月号に掲載したものです。

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農と里山をつなぐ地域経済圏づくり

前号でも報告したように,今年初めに循環共生農業をめざす若者たちが株式会社を立ち上げ,また市の中心部にある「街のはたけ公園」の畑作りを秋から始めていたところへ,里山と農をつなぐプロジェクトを応援していただける方が現れて,鈴鹿市南部の里山地域に無償で土地を借りられることとなりました。

鈴鹿は農業生産高では県内第一位ではあるものの,循環共生となっていくような,モノの輪,それを支える人の和についてはまだこれからという状態です。しかし,鈴鹿サーキット周辺から鈴鹿市南部は里山がつづき湧水の豊かなお米の美味しい地域で,行政が数年前の大規模調査で重要生態系地域に指定したところです。ただ,里山は管理放棄が目立っていたので,当SCSとNPO法人鈴鹿循環共生パーティー(SJP)との共同で里山と農をつなぐプロジェクトをスタートしていました。

このプロジェクトを通して,街のはたけ公園では有機栽培向けの肥料,冬場のハウス栽培の暖房に里山資源活用に期待が寄せられていますので,検討していきたいと考えています。

特に,一般的なハウスの暖房では管理が簡単で安価なA重油が使用されていますが,今後を見通して薪ストーブを併用し,地域から産出される資源で持続的にA重油消費をどこまで削減できるか,4割削減を目標に,今年から来年にかけてアズワンファーム㈱の若者たちと共に具体的に取り組む予定です。そこで生じた灰や,竹やぶ整備で出る竹の農業資材としての活用など含めて,KIESSで解析をしていただければ,里山と農をつなぐ地域経済圏づくりにむけて現場の実践も生きるのではないでしょうか。ぜひご協力をお願いしたいです。

 

次世代からシニア世代が交流する地域文化の発信

KIESSの協力で,地域再生コーディネーター養成講座を9月から開催してきましたが,今月で講座も農業実技のコースもすべて終了し,あとは来年1月29日の成果発表会及び公開シンポジウムを残すのみとなりました。団塊世代を対象としたこのコースで,21名の地域再生コーディネーター第一期生が誕生します。

これ以外にも9月からオータムフェスティバルとして街の芸術家の舞台や子どもたちの発表の場に,また子育てセミナーや子育て世代のための企画,多文化共生企画が続き,「街の縁側」として,赤ちゃんからシニア世代,ブラジルから韓国まで多様な人たちがSCSを訪れ,交流していきました。

(詳しくは,http://www.scs-3.org/eventkakko.htmlをご覧下さい)。

 

韓国サンマウル高校から交換学生・東近江市からの視察

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そのような中,韓国からもコミュニティづくりの研究者を中心に来訪が続いていたのですが,特に韓国サンマウル高校から理事会代表者,校長先生・生徒代表が交換学生受け入れを希望して,視察に訪れました。SCSと街のはたけ公園を中心に,農の体験や文化交流など学習の場として交換学生を受け入れして欲しいとのこと,同校ではこれまでにも埼玉県の自由の森学園と提携してきた経験がありますが,若者が育つ環境としては総合的な生活基盤であるコミュニティが望ましいという希望です。懇談や視察を通して,さっそく来年一月からOBも含めた学生交流を受け入れることになりました。

またKIESS内藤代表理事の紹介で,同じく持続可能な地域社会づくりを積極的に展開している東近江市から,緑の分権課の課長さんたちが視察にみえました。コミュニティセンターを活かした有機的な街づくりを模索されており,また地域通貨でも先駆的な仕事をされています。

鈴鹿では今年9月から地域通貨RINKAの試験運用がスタートしましたが,SCSもその拠点としてRINKAに対応した経営を試行中です。そうした点からも今後交流していきたいと希望していただき,私たちも是非一緒に勉強していきたいと考えています。

今後への課題としては,いまはまだ企画を成り立たせるところで一生懸命って感じ。地域に繋がる広報,知らせ方を一つ一つ丁寧にしながら道筋を確立していきたいと取り組み始めたところです。

 

(かたやま ひろこ:鈴鹿カルチャーステーション事務局)

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