里野山家だより(佐藤 秀一:MailNews 2019年4月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2019年4月号に掲載したものです。

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NPO活動
蜂蜜プロジェクト

加古川の養蜂家が里野山家の裏山に2年前から巣箱を置いています。冬の寒さで蜜蜂が弱ったり数が減っていましたが、暖かくなりかなり動きが活発になって来ました。花もあちこちで咲き始めましたので巣箱を一つ増やし、4群(4箱)にしました。冬場は餌として砂糖水を与えていましたので、これからの花の蜜と混じらないように、巣を洗浄しました。

里野山家米生産部会

昨年、夏ごろに近隣の地区の方から「3年間耕していない田んぼをなんとか活用できないだろうか」と相談をもちかけられました。

地域の課題を多少なりとも解消するとNPO法人里野山家の理念にもありますように、どうしたらその田んぼの活用ができるだろうかと考えて、まず現地を見学しました。

そこに立つと、見えてきました! 地域の子どもや親たちと一緒に都市部の子どもや親たちが賑やかに田んぼで米づくりを楽しんでいる姿が!

神戸市にお住まいで神戸市西区で7年間無農薬、無化学肥料で米づくりをしてきた安原さんに相談しますと「じゃあ、俺が参加した人が自分でお米を作れるようになれるよう面倒みるわ。」と言ってくれました! 有難い!

会員さんたちや繋がりのある人たちに声をかけると2歳から73歳まで20人ほどの方が自分たちの力を合わせて米づくりをしてみたいと名乗りを上げました。

昨年の12月から、なんで無農薬? なんで無化学肥料? の勉強会を開いて、月一回集まって畦づくりや代掻きなどを通じて米づくりへの気持ちを醸成してきました。

4月28日はいよいよ「種籾播き」です。田の神様にだしじゃことお塩、玄米、お酒をさしあげてみんなで二礼、二拍手、一礼。こんな風に田んぼの神様に敬意を表したことはありませんでした。

そして様々な地域から集まった2歳の子どもから小学一年生の子どもも一緒に、一つ一つの穴に種籾を3つづつ落としていく様は本当に感動以外の何物でもないでしょう!

これもすべて、田んぼづくりの手ほどきをして下さって、神戸から毎日のように通って田んぼの状態を米づくりに適応するように見てくれる安原さん夫婦の力によるものが大きいのは言うまでもありません。

これから以後も、米づくりをもみんなと一緒にやってみたい人はどんどん里野山家生産部会に参加してみてくださいね。

有機農法教室

過去2年間、講師の保田茂先生(兵庫県農漁村社会研究所代表理事、神戸大学名誉教授)のご都合で年2回の三田有機農業講座を受けてきた参加者の中から、もう少し詳しく畑のことを勉強したり、もう少し多品種の野菜を作ってみたいという声があが上がりました。

そこで、これも上記の米づくりと同様、3年間放りっぱなしの畑(耕作放棄地)をなんとかならないだろうかという地区の人の話から、その畑を活用して今年度から保田先生のお弟子さんで三田で保田農法による野菜生産農家藤本ファームの藤本さんご夫婦に指導をお願いして、毎月一回の有機網業教室を開催することになりました。

米づくりと同様に毎月、毎月、顔の知らない小さな子どもからおじいちゃんやおばあちゃんがわいわいわいと賑やかに畑や田んぼでやっている光景は地元の人の注目の的です。

みんなが帰った後、地区のひとから「佐藤さん、今日タバコ屋(畑の隣の家の屋号)の横の畑でこんまいのからとしよりまで、なんや賑やかにやっとたの? なにやっとんや?」と早速聞かれました。こんな風に高平の人や都市部の人たちが賑やかに楽しく畑や田んぼでワイワイやって、それが耕作放棄地の活用という田舎の課題解消の糸口になるなんて!なんて素敵なことなんでしょう!

木質バイオマス利用

三田市里山のまちづくり課から木質バイオマス活用の動きについて問い合わせがあり、日常生活に薪を使っている里野山家や45kwの小型発電ユニットの導入や公園での熱利用を案画しているメンバーを紹介しました。

学生のまちづくりコンテスト交流

三田市まちのブランド課から要請を受けて三田市の学生の皆さんが取り組んでいる三田市活性化活動の発表会に参加しました。町の親子に畑の体験を紹介する「三田をもっと知ってもらい隊」、熊本地震の被災地を訪れてボランティア活動をするグループなど、その活動は様々ですが、実に活発に学生さんたちがやっている現状にこちらもとても元気を貰いました。NPO法人里野山家は彼らの中で、これ!と思われるグループに「薪割りをして薪でご飯を炊きま賞」、「トラクターの運転をして田んぼを耕しま賞」などを提供しました。

小水力発電

基礎調査

昨年度から高平地域に小水力発電を導入しようと基礎調査を始めています。仲間が所属する関西広域小水力利用推進協議会事務局長里中さんを訪問したり、里野山家への来訪や現地視察を受け、今後の進め方について情報を得ました。

水車大工セミナー参加(竹中大工道具館主催)

当NPO小水力発電プロジェクトのメンバーと受講しました。「丹後海と星の見える丘公園」で直径2.5mの水車を設計・製作した経験を再確認しました。

農山村漁村活性化事業報告会

都市部の人たちが気軽にこの高平の里山に来て里地里山の暮らしを体験出来るイベントを打ち出していこうと宝塚空き家相談センターと連携して平成30年度兵庫県農山漁村活性化事業の補助金申請をして採択されました。① 平成30年6月9日 波豆川の岡田真二さんの指導の下に田植え体験。 ② 6月24日 里野山家での里山暮らし体験と高平散歩。③ 7月29日 竹で器や箸を手作りしてのそうめん流し。④ 8月18,19日 小柿の三田市野外活動センターを利用した高平の夏の夕べを楽しむ会。⑤ 10月13日 自分たちで手で植えた稲の稲刈り。⑥ 12月9日 移住促進・意見交換会 などの活動を行いました。

三田住まいるチーム

平成30年6月24日に副代表 佐藤英津子が東京高田馬場のベルサーユ高田馬場での全国移住相談会に相談員として参加。そこで相談にこられた栃木県の農家の男性は8月に里野山家に何日か滞在して、兵庫県が主催した「一泊の移住ツアー」に参加したり高平に先に移住してきた方などに会ってもらったりしました。

ウーファー受入れ

三田市地域おこし協力隊からの依頼で、弘前大学農学部畜産学科の学生一人を一週間受け入れました。薪を使った生活や農作業をやって貰いました。ちょうど地元の氏神、高売布神社の重文木彫狛犬の公開日があったので見せました。

ふるさとづくり青年隊

兵庫県が公募した青年(40歳以下)たちを受け入れて、NPO法人里野山家所属の青年たちと地域の課題を解決する活動を共にやっていく中で地域の次の担い手を育てていく兵庫県の取り組みに、その受入れ団体の申請して採択されました。

審査員が8人も並んだ前での第二次審査、プレゼンテーション審査にに会員の吉川由佳さんと佐藤英津子が参加しました。若い由佳さんに、とっても楽しくNPO法人里野山家の活動(里山整備、畑づくり、米づくりなど)に参加していることを話してもらったのは審査員の心象をよくした一つの要因だったでしょう。

いよいよ5月から公募青年を受け入れての活動(羽束川あまご・にじます掴み取りイベントスタッフ、田植え、野菜づくり、里山整備、稲刈りなど)が始まります。わいわい楽しくやる里野山家の活動を青年たちと一緒に楽しみましょう!

サポート高平

高平の一部の地域から高齢者支援事業でゴミ出しや送迎を始めて約2年が経ち、対象区域が高平地域全域に広がりました。この春から若い人もボランティアに加わることになっていて心強くなりました。利用者が遠慮気兼ねなく使える制度にしていきたいと考えています。

高平郷づくり協議会(以下郷協)のメンバーとしての活動
輪になって話そう

地域の諸団体(区長会、長寿会(老人会)、ふれあい協議会、スポーツ会等)が初めて一堂に会し、今後どのように横通しを図って行くか意見交換会が行われました。

移住促進

自然豊かな四季の風物詩がいっぱい詰ったこの高平への移住促進を始めて数年経ちますが、ここに至って、この高平に移住したいから空き家を探して欲しいという声が年々増えてきました。が如何せん空き家が見つかりません! 空き家はあるのでしょうが、法事などで使うので人に貸したりはしない家、兄弟の意見の相違で家の処分を考えられない家など。その間に家、そのものは痛みが早くなっています。なんとか、この高平に住みたいという人の希望を叶えられるようにこれからも空き家情報を集めて、随時空き家案内を続けてやっていきます。

集落丸山視察

郷協では里山生活体験を通じても移住促進を考えており、体験施設を持ちたいと考えています。その先進事例として篠山に「集落丸山」が有るので郷協有志で視察しました。そこは一人の区長が集落の存続を懸けてたちあがり、在住者だけでなく、他所へ移住した地主一人一人に働きかけ、全員の合意を得て体験宿泊施設を起ち上げました。この施設は高級志向なので、郷協の方針とは離れますが、地元主婦の雇用や耕作放棄地の賃貸しに成功しており、参考になりました。

小水力発電

小型水車によるデモ装置の設計・製作

郷協で予算を組みデモ装置を作ることにしました。先ず、NPOメンバーが所有する直径1.2mの木製水車を利用し、自動車用発電機と組合せるための軸受け、プーリー、シャフトなどを郷協予算で購入しました。

兵庫県「地域再生!再エネ発掘プロジェクト」応募

表記プロジェクトの中の「立ち上げ時取組支援事業」(~30万円)に郷協として応募し、審査会待ちの段階です。実施内容としては、①先進事例の視察 ②地元住民への意識啓発(試作水車の披露会、講演会の開催) ③流量調査・測量 ④事業スキームの研究・構築 を提案しています。

羽束川・波豆川流域水質保全協議会総会

高平地区水質保全推進協議会副会長として出席しました。

歌声喫茶(司会担当)

郷協が歌声喫茶を始めて2年近くになります。毎月1回金曜日に開催していましたが、他の定期的行事があって金曜日に来れない人の為、別の曜日に変えて欲しいとの要望があり、金曜日の月と水曜日の月を代わる代わる設けることになりました。

コスモス食品春祭りに出店

郷協の自主財源確保のために郷協運営メンバーでコスモス食品春・秋の祭りに綿菓子とコーヒー、ケーキ(高平在のケーキ屋)を販売しています。郷協会長の岡田さんは綿菓子作りの名人で、空飛ぶ円盤型の綿菓子が人気で。受け取った子どもたちのなんと嬉しそうなこと!

郷協運営委員会

高平地区水質保全推進協議会副会長として出席しました。

NPO法人里野山家の代表、副代表は高平郷づくり協議会の第一部会 環境・美化部会長を引き受けています。

協議会の運営委員会は毎月第二木曜日に開かれます。この高平を仲良い、住み良い地域にする活動をしようと集まっているメンバーの運営委員会です。

6部会のうち、特に第6部会のさとカフェ部門はメンバーも比較的若く、エネルギッシュに活動しています。歌声喫茶、英会話サロン、茶道教室、寺子屋、チャイルドカフェ、ハロウィーンパーティー、クリスマス会、サウンドカフェなど、この地域の人と人とが繋がっていく様々なイベントを打ち出しています。

この協議会の目指すところはNPO法人里野山家の目指すところと同じく「自然と人との共生を考える」という上で、その活動は注目すべきものが有ります。

里山整備
里道を遊歩道に整備

遊歩道整備は順調に進んでおり、全行程の70% を超えました。今一番の難所に差し掛かっています。

チップ製造

現在受けている県助成の「住民参画型森林整備事業」の一環として、伐倒材からのチップ製造と利用が有り、三田市の斡旋でチッパーが持ち込まれました。右写真の様な道を造っておいたにも拘らず、性能不足で材料のある上に上がれず、下にある昨年切り出した材をチッパーに掛けましたが、小径でも固くなった枝はチップに砕けず、中央写真の様な粉になってしまいました。これでは道に敷けません。

住民参画型森林整備事業平成30年度成果視察

県と市の担当者が現場を視察し、平成30年度の成果を確認されました。

里野山家の暮らし
~地域の伝統行事、年中行事、共同作業の写真記録~
味噌づくり(2 月17 日)

里野山家の玄関にブルーシートを広げ味噌づくりを行いました。煮た大豆の粉砕は参加した家族の子供たちが喜んで足で踏んでやりました。

醤油絞り見学(3 月3 日)

篠山大芋小学校で行われた醤油絞りを見学して来ました。やがては自分たちでやれるようになりたいと、絞り器の構造をよく観察・記録しました。

(さとう しゅういち:KIESS事務局・NPO法人里野山家代表)

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