鈴鹿コミュニティ活動の展開(片山 弘子:MailNews 2013年7月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2013年7月号に掲載したものです。

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新しい経済へ美味しく楽しく移行(行こう)!
~一方的にGIFTされる野菜やお惣菜=贈りあい経済への試行、半年目~

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ミニトマト、きゅうり、ナス、オクラ、ピーマン、にら、とうもろこし、すいか、玉ねぎ、にんじん、ジャガイモ、お米…。この半年余り山のような野菜とお米、調理されたお惣菜がコミュニティの真ん中に途切れることなく届くようになりました。これは昨年暮れから(株)SUZUKA FARMで農業を営む青年たちがきっかけでスタートしたコミュニティライフストア=贈り合いのお店の様子です。

そこではお金も、コミュニティ通貨RINKAも使わないで、一方的にGiftされるばかりです。決して、たくさん採れて余っちゃったから届いているのではありません。一級品を届けたいと思った若者の心がきっかけで、さらにシニア世代のベジタブルコミュニティくらぶの面々が思い思いに運び込む野菜。さらに、おふくろさん弁当からのGiftとしてたっぷりの夜のお惣菜が届けられるようになりました。毎日時間になると、思い思いの容器を持った人たちが、美味しさと気楽さに惹かれて集まり持ち帰っていきます。

きっかけを作ったSUZUKA FARMの青年たちは、ストアに贈る分をはじめから組みこむ経営を模索し、力強い会社にしていきたいと考えているそうです。種を撒き、気がつくと稔っている—自然に任せてできた野菜を本来的に活かし、全く新しい社会づくりを試みたいというのです。一方的に送られるだけの野菜やお惣菜を前に、そこを使う人の心はどうなるか? 我先に急いで奪い合う必要は本当になくなるのか? これも内面を見つめ、同時に社会の仕組みを整えていく、人間と社会の面白い資料になりそうです。

私も毎日このお店に立ち寄って、スイカを私の必要な大きさに切り分け味見しつつ、米も野菜も使いたいだけ持ち帰られる快適さに、言葉では表現しがたい安心とやさしさを感じつつ、おいしく戴く毎日です。

 

炭焼窯が完成!

6月はじめからスタートした里山での炭焼窯作りが7月21日(日)の窯うち式を迎えました。里山整備事業は3年前から手掛けましたが、地主さんの理解の上に、アズワンコミュニティのメンバー数名がきっかけで、地元自治会の方々、鈴鹿市民のみなさん、三重県南部で炭焼窯づくりの経験のある方など、多くの出会い、理解と協力で実現したもので、窯うち式には子供からシニアまで総勢70名の人たちが参加。地元のマスコミにも大きく紹介されました。

この里山は鈴鹿市の指定した重要生態系地域の一角です。市中央部から車で10分、普段着でいける場所で、昨年度は子どもから家族に人気が広がり、鈴鹿市内の小学校30校中22校から参加がありました。今後は炭焼き体験が加わって、鈴鹿市の子どもたちに化石燃料だけでは感じにくい、新しい文化の体験が出来るようにとの願いからですが、さて実際に子ども心にどんなものをもたらすでしょう。おそらく携わるメンバーの心の内容が大きく影響しそうな気がします。観察しながら、より本質的な方向を探ってきたいです。

 

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窯の位置を決めたらつるはしで穴を掘り、ナラの木を詰め並べて土台作り。天井に太い木で背骨を通すと、そこから細い枝で天井の方を作っていきます。

 

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…そして7月21日。窯うち式の開催です!

 

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盛り土をし、厚さを整えていよいよ窯うちへ…

 

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その前に、お母さんたちお手製のカレーライスとスイカで一休み。

 

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右田翁の窯うちの歌に合わせて、参加者全員で窯を打って山の神様に安全と繁栄を祈る歌をささげながら、窯の仕上げに入りました。

 

(かたやま ひろこ:NPO法人鈴鹿循環共生パーティー理事)

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