鈴鹿カルチャーステーション便り(片山 弘子:MailNews 2011年12月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2011年12月号に掲載したものです。

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9月25日のエコライフチャレンジセミナーを皮切りにスタートしたSCS秋のフェスティバルでしたが,二年目の今年も毎週末に用意した様々な分野の企画や,街の人たちの日常の持ち込み企画や教室も充実してきて,「街の縁側,街の学び舎,街のチャレンジ」—こんな街の拠りどころを目指す私たちには,少し手応えが出てきたところです。9月~12月20日現在で子供からシニアまでのべ1400人の人たちがSCSを訪れました。

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人文系の企画では,「宮沢賢治」シリーズ。臨床心理学「内観」講演会,二宮金次郎から七代目の子孫が語る「二宮金次郎の仕事,村おこし」,映画でフランスの歴史を知る,映画「幸福の経済学」の舞台ラダックから「未来を照らすコミュニティ」。音楽では,「0歳児からクラシックに親しむ愉快な音楽会」,「2011Suzuka子ども文化の祭典」では鈴鹿市内の子供たち総勢100名余りによる楽器独奏,合唱や合奏が披露され,子どもたちの笑顔がさわやかでした。

また持続可能なコミュニティ作りへの関心から,東京や大阪からアズワンコミュニティの見学が増えていますが,実際にコミュニティ作りを始めようとしているグループも4組来訪しました。共同体型ではなくて,現状のまま緩やかに繋がるコミュニティを造ろうという取り組みに対して,様々な疑問を直接ぶつけながら夜の更けるのも忘れて熱心に話し合っていました。実際にはどんなことでも話し合いが出来る状態であることが欠かせないといずれの皆さんにも実感があり,まず人と人の間柄が我慢や気兼ねなしに持続可能になること,そのトレーニングコースとしてサイエンズスクールへの参加や,アドバンス向けのカレッジコースも始まりました。

その中で,「2011秋のエコライフチャレンジセミナー」がKIESSとNPO法人鈴鹿循環共生パーティー,SCS,地域再生コーディネーター三重の会の共催,鈴鹿市の後援で9月~11月に三回開催。春からの参加者を含めると持続可能なコミュニティ作りに関心を持つ鈴鹿市民が延べ280人集ったことになります。秋のシリーズ第二回は「地産地消」について楠部先生から科学的な視点で見直す発表で,鈴鹿で有機農業や地産地消を標榜している参加者に訴えるものがあり,「よいこと」だからやるという熱意だけでは続かない,新しい豊かさ社会に向けた論理構築の必要性が感じられました。

第三回のエコライフセミナーでは,被災地に生活しておられる須藤隆一先生をはじめE-TECの皆さんからの生々しい体験と科学的知見や方向性に基づいた被害状況,そこから私たちに問われている課題が示され,KIESSで打ち出してきた,社会の根本から見直した体系だった街づくりの重要性,それを見直さないまま科学技術で解決できるとしてしまう見せかけ策の危うさを再認識させられました。内藤先生から,かつて「彼らは貧しい,けれども高貴だ」と他国の識者を唸らせた文化力,倫理で世界を変革できる潜在力を持つ私たちであることを自覚して,そんな生き方と活動となっているかどうか,心洗われながらも常に検証する必要性も感じました。

来日直前の病気でハーン先生は不参加でしたが,KIESSのメンバーや鈴鹿のコミュニティのメンバーはE-TECのみなさんと食事や宿泊などセミナー前後の時間を共にすることが出来,来年仙台での交流が心待ちになりました。詳細はホームページをご覧ください。

http://www.scs-3.org/news/news1_1112.html

 

(かたやま ひろこ:鈴鹿カルチャーステーション理事)

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