里野山家だより(佐藤 秀一:MailNews 2018年8月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2018年8月号に掲載したものです。

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NPO活動
平成30年度兵庫県農山漁村活性化事業
第1回 田植え体験(6月9日)

 

波豆川地区に3年前移住して来た人の田んぼを会場にして稲の手植え体験イベントを開催しました。

子どもたちが少し植えた後、大人が最後まで植え切りました。昼食は豆御飯とかやく御飯を薪で焚いて楽しみました。子どもたちは横の小川で沢蟹採りに夢中でした。

第2回 田舎暮らし体験(6月24日)

 

里野山家を会場にして、3家族が参加して里山田舎暮らしを体験しました。午前中は皆で昼食の準備です。薪を切る人、野菜を切る人、カレーを煮る人、羽釜でご飯を炊く人それぞれ手分けして行いました。午後は交流センターに移動し、観福寺側から観福の森展望所に上り、高平の谷間の田園の拡がりを展望しました。帰ってからはカンテキの炭火でマシュマロを焼いて楽しみました。

第3回 そうめん流し(6月24日)

 

豆川の古民家でそうめん流しを楽しみました。数家族の子供たちと共に神戸の女子高生と地元の女子高生が加わり、竹伐り、ふし抜き、組み立てを行いました。一方、台所ではおくどさんでご飯が炊かれていました。そうめん流しでは皆食欲旺盛で、流れの途中でそうめんが無くなり注ぎ足すほどでした。

井戸端会議(6月28日、7月26日)

6年前から続けてきました月一回の井戸端会議にこの頃は他地区からもいろいろな方々が参加なさるようになりました。6月は「四国食べる通信」の方で愛媛県で街づくりに携わってきた方や、街づくり協同センターの方が参加なさり、これからの高平の郷づくりに様々なアドバイスを頂きました。また7月は参加常連の高平地区で農家レストランや若い就農者の応援をしたいと夢を描いている方の夢実現に向けての進捗状況などのお話。2時間では語り切れない話題豊富な井戸端会議になってきています。

農業委員会ヒアリング(6月12日)

予てより里野山家の畑を仮登記から本登記に変更したいと願ってきましたが、このたびご近所の協力でその変更に必要な畑面積を借りることが出来まして、農業委員会の委員長を初めとして数名の方から農業者としてやっていけるかどうかの審査ヒアリングを受けました。この7年間で試行錯誤ながら畑でいろいろやってきたことを地元の農業推進委員さんが見ていて下さったこともあり、スムーズに資格審査を得ることができました。このヒアリングは農業委員会のメンバーにも里野山家の目指すところをお伝え出来たいい機会でした。

新人国家公務員研修(6月21日)

三田市の方から今年の新入国家公務員の研修に高平郷づくり協議会を訪れたいと申し込みがあり協会の会長や郷カフェ部門のリーダーと共に佐藤夫婦が訪問を受けました。これまでの郷づくり協議会の活動の歩みと現在の様々な活動をお知らせしました。最後に彼らの抱負をお伺いしたところ、国の機関の中に埋もれることなく地方の住民の声も良く聴く国家公務員を目指すとのことでした。

自伐林業講演会受講(6月30日)

「自伐型」と呼ばれる林業への関心が高まっています。もとは持ち山から自力で木材を伐り出す方式でしたが、昨今は中山間地に住み着いた移住者や、Uターン、更に一世代を越えて地元に戻る孫ターン者が、個人やグループで地元の山の手入れを担うようになっています。そこで、自伐林業を推進している団体の講演や事例紹介が有ったので受講して来ました。ポイントは、①低投資低コストで参入可能 ②持続的森林経営で定住 ③農林兼業の自立・自営へ ④農山村に「もう一つの道」 と言うことで、私達の「里山整備」と繋がるものと考えられ、取り入れて行きたいと思います。

自然エネルギー関連の動き

郷協環境・美化部会の今年度の活動の一つとして小水力発電の調査研究を始める事になりました。実務は里野山家が行います。先ず小水力発電に詳しい知人を誘い、地域の小河川の水量調査を始めました。更にメンバーを募り会合を開いています。一方、高平地域の羽束川の上流には昔地域住民が共同出資して起こし、現在関電が所有している現役の水力発電施設があるのですが、副市長よりこの発電所からの排出水を引いて、直ぐ下流の市立野外活動センターでデモ運転をしてはどうかとの意見が出され、それも検討中です。副市長の仲立ちで関電との繋がりも出来、協力が得られることになりました。
他方、フィンランドVolter社製設備を設置し木質バイオマス発電を行う企業を起ち上げようとする人が現れ、私達も里山整備と結びつけて一枚噛もうと話を続けています。

市長とのホットトーク(7月16日)

森市長と高平、小野地区の住民との懇談会があり、郷協の仲間と共に出席しました。NPOとしては市の後押しで兵庫県「住民参画型森林整備事業」助成金が獲得できた事、それで林業機材の充実が出来て里山整備活動が進んでいる事、危険木を伐採し付近の住民から喜ばれていることを報告しました。森市長は阪神北県民局長時代に「北摂里山博物館構想」を立てた人で今後も協力が期待されます。また、私達の世話で高平に移住して来て林業や害獣駆除に取り組もうとしている若手を紹介しました。

養蜂プロジェクト立ち上げ 新聞取材(8月2日)

三田の特産の蜂蜜を生み出そうじゃないかと市商工会青年部と地域おこし協力隊の竹岡俊介君が準備して、昨年養蜂家の永井直美さんに声かけして里野山家の裏山に巣箱を設置しました。その蜜源となる花を酒井地域で耕作放棄されている畑で育てることは蜜蜂にとっても、地域の美化にも通じるので里野山家も協力することになりました。そこでそのような畑の持ち主さんに声かけして畑を使わせて頂けることになりました。すると、ご近所の方が好意で畑を耕耘機で何回も耕して下さったり、自分の畑に自分でひまわりの種を撒いて、おまけに鹿よけの網まで張り巡らして下さったり、本当に地域の人々が進んで協力して下さり有難いことです。お蔭さまでひまわりが本当にきれいに咲きました!先日別の畑に鹿よけ用の網を張ってコスモスと蕎麦の種を蒔きました。

 

農家レストラン&農泊企画打合せ(7月26日)

高平の財産である自然豊かな里山風景と人という財産を活かして、この地域に農家レストランや人と人とが繋がり、癒される農家民泊を起業したい若者がぼつぼつ出てき始めました。その人たちが顔合わせと構想意見交換を兼ねて里野山家に集まりました。彼らの夢が叶うように、里野山家も拠点探しや地域の人たちとの橋渡しなどで協力していくことにしました。

イオングループ ボディーショップ日本基金の目録受理と打ち合わせ(8月4日)

里野山家の里山整備活動に対して平成30年度ボディーショップ日本基金から助成金をいただくことが決まり、ザ・ボディーショップ代表取締役社長福本さんと関係者2人の方が目録手渡しと今後の交流の相談に里野山家を訪問されました。この補助金の決定に当たって審査員の方々には「里山」という観点から非常に里野山家に関心を持って頂いたと伺いました。やはり、この時代、里山、地方が注目され始めた一つの時代の流れを感じました。

 

高平郷づくり協議会(以下郷協)のメンバーとしての活動
歌声喫茶開催(6月8日、7月13日、8月10日)

歌声喫茶が始まって7月で満一周年です。13日の参加者はこれまでで最高の37名となり会場であるさとカフェがもう一杯で入り切れないほどになりました。ちょうど折しも、やがてはこちらに移住したいと希望されている方よりピアノの寄付があり、その日はちょうど弾き始めとなりました。とても素晴らしい西邨遼子さんのピアノの音色に合わせて、参加者のみなさんもすごく大きな元気な歌声で歌声喫茶を楽しんでいらっしゃいました。

 

移住推進活動

自分たちがこの7年高平の地に住んで、この素晴らしい自然風景、風物詩、行事など、何よりも見も知らない自分たちを受け入れてくれた人たちと親しく暮らしていくに連れて、ますますこの地にいろんな人に紹介して共にこの高平を住み良い、楽しい地域にしていける仲間を増やしたい気持ちにもう歯止めをかけることはかなり難しくなってきました。今では、こちらに興味がある人たちに協議会の会長と一緒に毎月二回くらい空き家案内を買って出ています。そんな中、去年の5月から小さい子どもも入れて7人の方たちが移住して来られました。その人たちは、ほとんど自分たちの食べるものは自分たちで畑で作るという人たちです。そしてそれぞれの地区でご近所の人たちと仲良く暮らし始めておられます。現在も二組の方が住居を決められつつあります。

そんな風ですので、県や市から全国移住交流・フェアーなどに声を掛けて頂き6月24日(日)には兵庫県からの依頼で東京高田馬場にあるベルサーユ高田馬場で開かれました全国移住交流フェアーに行って来ました。会場には午前11時から午後5時までお茶を飲む間もないほどの移住相談希望者が来られました。合計30人ほどの相談を受けました。そのうちの一人が8月の下旬に里野山家に一週間ほど滞在して、23日の有機農業講座と25,26日の県の一泊二日の移住見学ツアーに参加なさいます。

高平ふれあいまつり(7月15日)・三田まつり(8月4日)

今年も暑い中、高平ふれあい祭りと三田まつりが巡ってきました。郷協からは恒例の綿菓子の店を出しました。

三田まつり今年は例年になく、殊の外暑いので開催時間が午後五時からとなりましたが、私達郷協の綿菓子の店には開店当初から長蛇の列が出来て、嬉しい悲鳴と異常な忙しさで、綿菓子機二台では到底お客様に短時間で対応することが出来ず、待ち時間50分という結果になってしまいました。郷協のスタッフに加えて里野山家の会員さん二名と関学大生一人も応援に入ってくれて交流が出来た綿菓子の店でした。

 

里山整備
兵庫県助成「住民参画型森林整備事業」 里道を遊歩道に整備

専門業者が伐りっ放しで乱雑に重なり合っていた危険木を里山守り隊が整理片付けしました。約4か月かかりましたが写真の様に整理され、住居に覆い被さる危険木は無くなりました。その後里道整備作業に戻っています。下中の写真の様に運搬車が通れる橋も架けられました。大変な作業だった危険木の整理が片付いたのを機に泊まりでバーベキュー懇親会を開き、互いに慰労し合いました。

 

里野山家の暮らし
~地域の伝統行事、年中行事、共同作業の写真記録~
酒井夏祭り(8月11日)

高平酒井地区では、地区主催の二年に一回の夏祭りが催されます。昔は盆おどりもあったのですが、踊る人が少なったので盆踊りは無くなりました。その日は区の役員さんたちが焼き肉、焼きそば、カレーなどつくって生ビールも販売されました。私達、老人会は例年通り金魚すくいとヨーヨーつりを用意しました。子供たちの為にヨーヨー釣りのヨーヨーを用意するのですが、その用意が楽しいのなんのって。ヨーヨーに水と空気を入れる方法をああでもない、こうでもないとおじいちゃんやおばあちゃんがわーわーと騒がしく論争するんです。また手元がくるって水の入った風船をシュルシュルシュルと飛ばして、その辺にいる人は水をかぶってびしょぬれ。キャーキャー、誰やあーこんなことしよってー!と大騒ぎ!祭りの用意で大人は子供以上に楽しませてもらいました。こんな行事が地区に残っていることは地区民のお互いの交流に無くてはならない要素だと思われました。

(さとう しゅういち:KIESS事務局・NPO法人里野山家代表)

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