鈴鹿コミュニティ活動の展開(小野 雅司:MailNews 2015年4月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2015年4月号に掲載したものです。

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立春の訪れとともに、各地で芽吹く人のつながり。

都市型・開放型エココミュニティの「アズワンの試み」も、各地で展開しているコミュニティづくりの渦に加えてもらいながら前進しています。

 

コミュニティづくりの流れと出会う

日本各地で、自分達の力で、自分達の描く理想の社会を、自分達の周辺に創り出していこうとする時代の流れがあるようです。

アズワンコミュニティの試みも、各地の心ある人達と連携しながら、共に育ち合っていくことで、この時代の流れをより大きなうねりにしていく一役を果たす事ができるように思われました。

 

全国のトランジションタウンが鈴鹿に集結

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トランジションタウンとは、トランジション・ネットワークの価値によって支えられた地域グループを作ることで、石油ピークや気候変動、経済的不安定からの回復をめざす、草の根のコミュニティ活動です。アズワンコミュニティも2年前から仲間入りさせてもらっていますが、全国の仲間が集うオールトランジションミーティングを、今年は鈴鹿で開催しようと言ってもらえました。

3月8日、全国各地のトランジションタウンから45名が集い、交流し、親しくなって、これからの展開を描いて出発していきました。その中から、この機会にコミュニティづくりの実際に触れたいという希望が出て、一泊の「探訪DAY」を用意したところ、14人の参加がありました。各地で 様々な活動をしてきている皆さんの、「これから暮らしやビジネスも含めたコミュニティを自分達で生み出したい」という意欲から、アズワンのメンバーも加 わって、熱心な話し合いが展開されました。(当日の様子は、http://transition-japan.net/wp/archives/846 をご覧ください)

宇都宮で新しいコミュニティづくりに取り組む人の感想の一部です。

【コミュニティーの核はピュアハート♡】

指導者もいない、専門家もいない

登録もない、入会金もない。。。

人と人が繋がり、コミュニティーをコミュニティーたらしめているポイントの中心にあるのは、「限りなく純粋なニュートラルハート♡」でした。

何かを非難したり攻撃したりもしない。

一人一人が自分自身の内面を深く見つめていく。

そこに答えや判断も付与しない。

とにかく問い続ける。仲間と一緒に問い続けます。

様々なしがらみや思い込みを剥いで、どんどん心を裸にしていきます。

そうして見えてきた人間本来の姿。

アズワンコミュニティーの皆さんは、その眼差しの先に平和を愛する人間本来の姿を見つめ、そして掴んでいました。

アズワンコミュニテイーの拠点鈴鹿カルチャーセンター周辺近くには、際立って美しい里山の風景があるわけではありません。至って普通の街中の風景です。

でも、多くの人を惹きつけて止まないのは、人と人が繋がり紡ぎ出しているそれはそれは美しい「心の風景」があるからではないでしょうか。

見ることも、触ることも出来ないけれど、アズワンコミュニテイーの人々が醸し出す美しい「心の風景」に、安心感や心地よさを感じて多くの方が惹きつけられています。

 

各地との交流が盛んに

トランジションタウンの繋がりも含め様々な繋がりから、全国各地に出向いての交流が盛んになっています。

私も、持続可能な社会づくりカレッジ第一期生の繋がり等で、九州各地で交流に4日間行ってきました。各地でのコミュニティづくりへの熱心な取り組みに大いに刺激されました。(詳しくは、http://as-one.main.jp/sb1/log/eid1013.html をご覧ください)

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KIESS会員の片山弘子さんも、関東のトランジションタウンと交流したり、名古屋でのサティシュ・クマール講演会(辻信一さん、ソーヤ海君も参加)、そして九州のコミュニティづくりを進める人達と出会って、人の和を拡げていっています。

4月18~19日には、東京のアースディにも、アズワンコミュニティとして出店することになっています。ここでも多くの出会いがあるでしょう。

 

韓国からも続々

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日本よりも厳しい情勢にある韓国から、新しいコミュニティの試みを学びに続々と鈴鹿に訪れて来ます。2月~3月で、4団体約50人が来訪しました。研修や長期滞在の人も連続して来ています。

視察に来られた人の感想に「自分の考えを他の人に強要したり判断したりせず、皆が自分の本性のままに生き、私がそうであるように他の人もそうである事を認め、尊重する、そして皆が楽で安全な社会が可能だということを見てきました」と感想を寄せてくれました。

 

各所で紹介

このような時代の流れの中で、いろいろな所で採り上げてもらようになってきました。

FM北九州やFM鈴鹿での取材の他にも、最近では以下のようなメディアで紹介されています。

【その1】

昨年末、共生革命家のソーヤ海さんが出版した“URBAN PERMA-CULTURE GUIDE—都会からはじまる新しい生き方のデザイン”で、京都造形芸術大学教授熊倉敬聡さんとの対談部分とRecommended Spots(おすすめのスポット)に「アズワンコミュニティ」が紹介されています。

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【その2】

『enowa』から出版された『未来にやさしい「いいね!」な暮らし方 「共生き」コミュニティ30』(電子書籍)で、紹介されています。(http://enowa2014.wix.com/tomoiki)

その出版を記念して4月18日(土)に共生きコミュニティ交流会が開催され、私も参加します。

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【その3】

「お金のいらない社会、無償奉仕社会」というfacebookページでアズワンコミュニティの試みが紹介されました。

https://www.facebook.com/shareandgivecommunity

 

【その4】

GEN(Global Ecovillage Network)のニュースレターに日本のコミュニティづくりの様子“Japan: New collaborations Have Emerged”がレポート。

http://gen.ecovillage.org/en/node/5393

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コミュニティづくりの学びの場を提供

各地でのコミュニティづくりを進めようという時代の流れの中、コミュニティづくりのベースとなる人間関係について、アズワンコミュニティの15年の試みを学びたいという声が挙がっています。

 

持続可能な社会づくりカレッジによる人育ち

「持続可能な社会は持続可能な人間関係から」と、人間関係を焦点にした教育プログラム「持続可能な社会づくりカレッジ」は、昨年5月から始まり、第二期が今年1月から3月の3回シリーズで開催されました。

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「自分自身の心が本当に自由になること、そして自由とは新しい自分を生み出すのではなくて、本来の自分に戻っていくこと、枠のないありのままに受け入れられる心の状態になることが、持続可能な人間関係を作りだし、コミュニティーへと広がっていくことを知ったことが、今回のカレッジでの大切な進化/深化です」このような気付きが参加者一人一人の奥深くで起こり、「人生のステキなターニングポイントになるかも」と出発していきました。

好評に付き、第三期も5月~7月で開催されることが決まりました。(詳しくは、http://jssc358.wix.com/college をご覧ください)

 

サイエンズ留学の流れ

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アズワンコミュニティは、「サイエンズ」という考え方をベースにして試みられてきています。

「サイエンズ」は、やさしく言うと「人間を知り、人間らしく生きる営み」ということです。そこを知ることで、様々な決めつけや思い込みをゼロから考えられるようになり、人間らしい社会が描けるようになります。

今この「サイエンズ」に焦点を合わせて学ぼうという人達が出てきました。長年ソーシャルスキルトレーナーとして各地の自治体や法人で活躍し、福岡県赤村でもコミュニティづくりに携わってきた鶴島夕子さんが、この4月から留学するために鈴鹿に引っ越してきました。彼女は、第一期の持続可能な社会づくりカレッジで持続可能な人間関係を阻むものに向き合うことになりました。「なぜ、人は志をひとつにしていても、対立したり葛藤したりするのでしょう?」そこを転機として、自らの内面の変容が起こり、ゼロから見直し、コミュニティづくりのできる人に成りたいと留学を決めたのでした。

韓国の青年共同体づくりを進めるウドンサからも 連続的に長期滞在で学びに来ています。日本各地からも、サイエンズを学びたいと中長期で滞在する人達が増えて来ています。

学びの場としてのアズワンコミュニティの役割を感じ、これから各種の教育プログラムや研修プログラムを用意できるように準備していきたいと思います。

 

楽しいエネルギー研究会
第1回公開発表会開催《 3月28日》

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エネルギーも自分達の手で作ってみたいと2013年6月に開催したミニ太陽光発電ワークショップ。

その感動体験を自分達の暮らしに根付かせていくために、昨年11月から「楽しいエネルギー研究会」を有志が立ち上げて、検討を重ねてきました。(KIESSの岩川君もメンバーです)今回、2013年に出会った人達に、自分達の身近な所でエネルギーを作れるというこの4ヵ月の成果発表にみなさん関心を持たれたようです。

最後に、街のはたけ公園のソーラーウォッシュレットトイレを実地見学しました。

 

すずかの里山での炭窯4回目の火入れ

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南伊勢の師匠右田氏達の火入れのプロセスを、メンバー数人が、一晩付き合って味わって来ました。

4月1日夜、炭焼き男達、物好き達10人ほどが炭窯の前に寄ってきて、未完成の東屋で火を見ながらの「夜語り」、炭作りを楽しみました。一晩火の番をする老齢の男性も。さて、出来栄えは?

 

(おの まさし:サイエンズ研究所・KIESS会員)

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