KIESSの再出発に寄せて(内藤 正明:MailNews 2010年10月号)

※ この記事は、KIESS MailNews 2010年10月号に掲載したものです。

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当NPO(KIESS)も発足7年余を経過して,一つの転機を迎えました.それは,我々が目指してきた「循環共生社会」,またそれと理念としては類似する最近の「持続可能社会」,「脱温暖化(低炭素)社会」,「脱石油文明社会」などへの転換が,世界中の趨勢となってきたことにあります。

世界の動きに遅れながらも,漸く我が国でもそのような方向への動きが出始めたために,まず,当NPOの実働メンバーが各地にスカウトされて,足元の事務所が空き家同然となったことです。にもかかわらず,というべきか当然と言うべきか,活動拠点を各地に…というニーズが起こってきて,いよいよ京都に留まっておれなくなりました。そのため本年度には,総会の議を経て鈴鹿に拠点を設けることとし,認可機関も京都府から総務省に変更することとなりました。新たな対象地である鈴鹿が興味深いのは,具体的に活動拠点が現地の人々の努力で立派に完成し(http://www.scs-3.org),そこで地域の人々との連携と,現場を持った実地の活動が急速に展開し始めたことです。

これまでのKIESSは机上の研究が活動の中心で,その成果を要請に応じて提供することを役割としてきました。しかし,これからは自らが実践の場を持って研究成果を実地に適用するという可能性が出てきました。実用の学を旨とする我々としては,このような展開は願ってもない成り行きで,心躍らせながらこれからの仕事に関わっていきたいと思っているところです。

周辺の社会状況も大きく変わりつつあり,総務省の「緑の分権改革」,環境省の「環境未来都市」,そのほか国交省,経産省なども,次々に環境を意識した社会変革プロジェクトが動き出しています。そこで,各地からそのような計画づくりへの依頼があって,いくつかの作業にも協力しています。勿論その中身は我々が言ってきた理念と十分には一致しない対象もありますが,その作業にかかわる中で,その方向性を当NPOで検討し,鈴鹿で実践して培っていく循環共生社会の社会像に近づける努力をしたいと思っています。

いよいよ,我々が雌伏?10年,蓄積してきた社会変革の理念と手法が,現実の場で芽吹きつつある予感がしています。そこで,再出発ともいうべきこの期に,改めて会員の皆さんと共に,一層張り切って進んで行きたいと思っているところです。

 

(ないとう まさあき:KIESS代表理事・京都大学名誉教授)

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